事務次官等会議 wikipedia|無料辞書
◆ 概要
事務次官等会議は会議の翌日に開かれる
閣議に備えて、各省庁から提出が予定されている案件を事前に調整していた会議である。定例閣議は毎週
火曜日と
金曜日に行われるため、事務次官等会議は毎週
月曜日と
木曜日に開かれていた。構成員は
内閣官房長官(主宰)、内閣官房副長官(事務担当)、内閣法制次長、各府省における
一般職国家公務員(非政治任用職)
[防衛事務次官は特別職国家公務員であるものの、事務方(非政治任用職)の最高位である。]の最高位である事務次官、及び警察庁長官、金融庁長官、消費者庁長官である。
内閣官房内閣総務官及び内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補を助ける内閣審議官のうちからあらかじめ指定する者)が会議に陪席する
[「事務次官等会議の構成員について」(2001年1月6日 内閣官房長官決定)]。事務次官等会議に関する事務は閣議に関する事務と同じく、内閣官房内閣総務官室が取り扱う。
内閣官房長官が主宰する会議であるが内閣発足直後など特別の場合を除き、通例内閣官房長官は出席しない。内閣官房副長官(事務担当)が会議を取り仕切る
[大森政輔=鎌田薫編『立法学講義』(商事法務、2006)74頁]。
特に設置根拠法のない会議であるものの事務次官等会議で調整がつかなかった案件(反対のあった案件)は翌日の閣議に上程されないことになっている
[事務次官等会議で反対のあった案件が翌日の閣議に上程された例はあり、2007年3月に押し付け的天下りの政府見解を巡る閣議決定では事務次官会議で反対があった案件を閣議決定している。]など、政府の政策決定過程において重要な位置を占める。このため与野党を問わず、官僚主導を嫌う政治家やマスコミから事実上の政府の意思決定機関とみなされている。一方で、この会議の俎上に載せられる段階では殆どの場合は省庁間の調整は完了している。このため、事務次官等会議は実際に是非を議論する場というよりも閣議上程への合意形成が完了したことを確認する一種の儀式として行われているとの見方もある。
確かに日本の行政機関相互における調整は担当者レベルの折衝(根回し)によって合意形成がはかられることが常例であり、事務次官レベルの折衝までもつれることはほとんどない。しかし事務次官等会議の構成員の間で意見が割れたために結論を出さず、結果として閣議の結論と齟齬を生じることもある。したがって、事務次官等会議を過大視することも軽視することも妥当ではないとされる
[飯尾潤『日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ』中央公論新社、2007年 など。]。
2009年9月に発足した
鳩山由紀夫内閣は官僚支配の象徴として事務次官等会議を挙げ、
国家戦略局設置に代えて廃止を決定した。同月17日(木曜日)には事務次官らが集められ“事務次官等会議は廃止されたことを確認する会議”が開かれた。
◆ 名称
1949年の
国家行政組織法施行前は事務次官の役職名は単に「次官」であったため、会議名称は「
次官会議」であった。これが国家行政組織法により次官は「事務次官」と改められたため、会議名称も「
事務次官会議」と改められた。
◆ 沿革
次官会議は内閣制度創設の頃(
1886年頃)から法令上の根拠がない非制度的機関として存在、会議を主宰するのは
内閣書記官長であった
[内閣制度百年史編纂委員会編『内閣制度百年史』上巻、大蔵省印刷局、1985年、577-578]。
戦前の次官会議は基本的に週1回木曜日に開催される「連絡機関」としての性格が強いものであったにすぎず、現在のように閣議の事前審査をする権限はなかった
[赤木須留喜・稲川昇次『政策決定機構と内閣補助部局』行政管理問題研究会、1983年、100-101]。
1930年代の
挙国一致内閣以降には閣議の形骸化や各省行政不統一が露呈し、次官会議の活用が非公式になされはじめた。
1935年には
法制局長官などとともに内閣3長官として閣議に陪席し、企画と閣議の事前審査の機能を有するようになっていた
[鳩山一郎『鳩山一郎回顧録』文芸春秋新社1957年、147-149][内閣法制局百年史編集委員会編『内閣法制局百年史』大蔵省印刷局 1985年 66]。
1939年2月7日には「国家総動員法ノ施行ニ関スル所管問題ニ付関係各庁間ニ意見ノ一致ヲ見ザル場合ニ於テハ法制局及企画院協議ノ上作成シタル調整案ヲ尊重スルモノトス」とした閣議決定がされ、実質は3長官に一任していた
[企画庁「国家総動員法ノ施行ニ関スル諸問題ニ関スル閣議諒解事項(1939年2月7日)」『内閣総理大臣官房総務課資料』国立公文書館、2A-40-資120]。
そして第二次大戦勃発翌年の1940年
10月1日に重要政策における予算編成は各省の対立した案件を閣議にもちこませず事前に次官会議で調整するとした次官会議の活用方針が閣議了解され、大蔵省主計局中心の予算編成が閣議中心主義に変わった
[『朝日新聞』1940年9月6日、20日、10月2日夕刊]。その結果、閣議中心の予算編成が実際には次官会議の事前審査が機能するようになった。ただし
陸海軍予算は別で次官会議に提出することなく決まっていた。
・事務次官等会議 page1
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